猫の病気で口腔ガンというガンをご存知でしょうか。口腔ガンはガンの中でも口の中からあごにかけての部位にできる悪性腫瘍です。口腔ガンはそれほど発症率は高くないものの、それでも年々増加傾向にあります。特に中高齢の猫での発症が多く口の中で発生するため、なかなか飼い主が気付きにくいことがあります。死亡してしまうケースも多いためどういった病気なのかしっかり把握しておきましょう。
猫の口腔ガンの原因
猫の口腔ガンは口の中からあごにかけてできる悪性腫瘍ですが、出来る場所によって呼び方が変わってきます。発生する場所により、「舌ガン」、「歯肉ガン」、「口底ガン」、「頬粘膜ガン」、「口蓋ガン」、「口唇ガン」、「上顎洞ガン」に分けることができます。
原因不明によるもの
口腔ガンの原因は現在研究中で、何が引き金になっているかという明確なものがほとんど分かっていません。
遺伝によるもの
親猫が口腔ガンを発症していると遺伝的にガンの因子を持っている可能性が高くなり、発症するのではないかと考えられています。
口腔内の不衛生によるもの
猫が口腔ガンを発症する要因として考えられているものの中に口腔内の不衛生があります。人間の口腔ガンの要因にタバコ、アルコール、口腔内の不衛生、虫歯、外傷などがあり、口の中の不衛生や外傷が猫でもがん発生に大きくかかわっていると考えられているからです。
偏食によるもの
猫の偏食も口腔がんの発生に起因していると考えられています。ビタミンや鉄分不足が口腔がんの発生要因になっていたり、人間の食べ物を猫に与えることがガンを発生させていると考えられたりしています。
猫の口腔ガンの症状
口腔ガンはどこにガンができるかによって見た目が大きく変わってきます。共通する症状は、食べるスピードが遅くなる、口臭がする、よだれが多い、口からの出血などがあります。
舌ガン
初期の舌ガンでは舌の粘膜の表面に小さなしこりが感じられる程度です。場合によってはしこりができず、舌の表面が白くなるだけのこともあります。悪化してくると舌にしこりができるようになり、舌の隆起や潰瘍などが起こります。
歯肉ガン
初期の歯肉ガンでは、歯肉が腫れて出血しやすくなります。歯茎の一部分で発生するため、ガンだと気づきにくい特徴があります。赤くただれるだけの場合もあれば、隆起や潰瘍ができることもあり、悪化してくると歯肉の下にあるあごの骨が溶けてぐらぐらしてくることもあります。
口底ガン
初期の症状の口底ガンでは舌の下の粘膜の表面部分が部分的に赤くなったり白くなったりするようになります。悪化してくると舌がボコボコに隆起するようになり、潰瘍が生じ、口の底の部分がえぐれてくることもあります。
頬粘膜ガン
初期の症状の頬粘膜ガンでは、口の中の頬の粘膜が白くなったり赤くなったりします。悪化してくると頬にしこりを感じるようになり、潰瘍ができることもあり、頬に穴が開くこともあります。また口が開きにくくなっていき食事がとりづらくなります。
口蓋ガン
口蓋ガンは上顎の内側にできるガンで、粘膜が膨らんだり、痛いみが出たり、粘膜の隆起やしこり、潰瘍ができることもあります。
口唇ガン
口唇ガンは初期の段階でしこりができることがほとんどです。唇に潰瘍や隆起が起き、いぼ状になっているので見た目ですぐに気づきます。
上顎洞ガン
上顎洞ガンはガンがどの方向に広がっていくかによって異なってきます。歯の付け根の粘膜や頬の方向に向いてできた場合にはその部分が腫れたり、鼻の方向に向いてできた場合には鼻詰まりや鼻水が出たり、歯痛、頭痛、開口障害、眼球突出、複視などさまざまな症状が伴うようになります。
猫の口腔ガンの対策
口腔ガンの治療方法は手術、放射線治療、抗がん剤治療などです。これらの治療法を複数組み合わせて行うこともあります。また治療はガンの種類や大きさによって行えるものと行えないものに分かれてきます。
手術治療
ガンが小さく、体力がある場合には外科手術により治療を行っていきます。手術によってガン細胞がすべて取り除かれることもありますが、ガンの種類が繊維肉腫や悪性黒色腫の場合、転移や浸潤が起きやすくなかなかすべて取り除くことができないこともあります。口腔ガンの手術では舌や顎骨、顔面切除などを行うため後遺症として嚥下障害や咀嚼障害、味覚障害などが出ることもあります。また発見が遅れて悪化していた場合には余命が1年以内になってしまうこともあり、根治が難しくなります。
放射線治療
ガンの種類が扁平上皮ガンの場合、放射線治療が有効だとされています。
抗がん剤治療
ガンが進行している場合には抗がん剤による治療が行われることがほとんどです。
予防
口腔ガンの予防法としては原因が不明なことが多いため、難しいものとされていますが、食事のバランスに気を付け、歯磨きを行うなど口の中をきれいに保っておくようにしましょう。
まとめ
猫の口腔ガンは発症してもなかなか飼い主が気付きにくい病気です。症状が口の中で進行していき、また猫が口の中を見せるのを嫌がるため、ほとんどの場合で状態が末期になってしまい治療が行えない状態になっています。口腔ガンでの死亡も少なくはないので、普段からスキンシップの一環として歯磨きを行ったり、口回りを触っても嫌がらないように訓練しておいたりすることが重要です。
コメントを残す