【耳の症状】猫の耳先が変色している時に考えられる病気

猫の耳先が赤色や黒色に変色していたら、何らかの病気を発症しているかもしれません。赤色に変色している場合は皮膚炎やアレルギー、悪性腫瘍である可能性が、黒色に変色している場合はその部分が壊死している可能性が考えられます。

特に耳先の皮膚がただれて赤い場合や、黒色に変色している場合は要注意です。治療が遅れると耳先が脱落する危険性があるので、なるべく早く猫を動物病院に連れて行きましょう。

では、具体的にどのような病気が原因になっているのでしょうか。猫の耳先が変色している時に考えられる病気について取り上げます。

正常な猫の耳とは?

正常な猫の耳は、耳介と呼ばれる部分がピンと三角形に立っていて、内側の皮膚は薄いピンク色をしています。耳介はイヤータフトと呼ばれる毛に覆われていて、先端にはリンクスチップという飾り毛が生えています。

以上のような正常な状態と比べて耳介が赤みを帯びていたり、黒くなっていたり、脱毛していたりすれば、程度の差はありますが、何らかの異常が生じていると考えられます。

猫の耳先が変色する原因

猫の耳先が変色する原因は、複数考えられます。赤色か黒色に変色することが多く、赤色の場合は紫外線や寄生虫による皮膚炎、皮膚炎が進行することで発生しやすくなる悪性腫瘍、またはアレルギーによる可能性があります。一方黒色の場合は、寒い場所に長時間いたあとに変色したのであれば、極度の低温状態によって耳先の皮膚が壊死している恐れがあります。

耳先が赤くただれていたり黒くなっていたりする場合は、放置するとやがてその部分が脱落してしまいますので、早急に対処する必要があります。

猫の耳先が変色している時に考えられる病気

猫の耳先が変色している時に考えられる病気を、赤色に変色した場合と黒色に変色した場合とに分けてご説明します。

・赤色に変色した場合

日光皮膚炎

被毛の少ない耳先が、紫外線にさらされることで皮膚炎を起こすことがあります。特に白っぽい猫に多いのが特徴です。

白っぽい猫は、被毛を白くする優性遺伝子が、メラニンを作る色素細胞・メラノサイトを抑制することで白く生まれます。メラニンには紫外線から皮膚を守る役割があるため、白っぽい猫は生まれつき紫外線によってダメージを受けやすいといえます。

猫が日光皮膚炎を発症すると、皮膚が炎症を起こして赤くなり、皮膚のカサつきや脱毛、フケが見られるようになります。かゆみがあるため、猫は耳を気にして後ろ足でかいたり、壁にこすりつけたりといった行動をとるようになります。日光皮膚炎は、耳先の他、まぶたや鼻先でもよく起こります。

さらに、日光皮膚炎を長期間放置したり、繰り返し発症させたりすると、患部がただれ、扁平上皮がんに進行することもあります。

扁平上皮がん

猫の扁平上皮がんは、皮膚や口腔粘膜にできる悪性腫瘍です。皮膚では耳先や鼻にできることがあります。なかでも耳先にできる扁平上皮がんは、日光皮膚炎が原因で発症することが少なくありません。

日光皮膚炎を起こした耳先の皮膚が長期間に渡って紫外線にさらされることで、表皮などにある扁平上皮という細胞ががん化し、皮膚のカサつきや脱毛、すり傷のようなものができます。さらに症状が進むと、耳先がただれ、血や膿が出るようになり、患部が脱落します。

蚊アレルギー

猫が蚊に刺されることでアレルギー性皮膚炎が起きることがあります。毛の薄い耳先は蚊に刺されやすく、耳先や耳の裏側の皮膚が点々と脱毛し、その部分はピンク色~赤色になります。かゆみを伴うため、猫は耳を気にしてかき壊し、それで患部がただれることもあります。

蚊アレルギーは家と外とを自由に行き来できる猫に多く見られます。さらに、蚊は黒色など暗い色に引き寄せられる性質があるため、白猫より黒っぽい色の猫のほうが刺される可能性が高まります。

蚊アレルギーは蚊の活動が活発な時期に発症しやすく、蚊がいなくなれば自然に症状は治まります。

疥癬

猫の疥癬はネコショウセンコウヒゼンダニが皮膚に寄生することで起こる皮膚炎です。ネコショウセンコウヒゼンダニは感染動物との接触で簡単に感染し、感染後は猫の皮膚に穴を掘って寄生し、繁殖活動を行います。

猫が疥癬を発症すると、鼻や耳先などに強いかゆみが起きたり、皮膚が赤くなったりする他、脱毛やフケも見られます。かゆみが非常に強いため、猫はしきりに耳を気にするしぐさをします。

白癬

猫の白癬は、皮膚糸状菌症ともいい、皮膚糸状菌という真菌(カビ)の一種に感染することで起こる皮膚病です。猫の場合、イヌ小胞子菌(ミクロスポーラム・カニス)が原因で起こることが多く、感染動物との接触によって感染します。

猫が白癬を発症すると、耳介や顔、四肢などに円形の脱毛ができ、脱毛した箇所には赤みが出て発疹やかさぶたができ、フケを生じます。患部に色素沈着が見られることもあります。

白癬は子猫、高齢猫、老齢猫や、病気などで免疫力が低下している時に起こりやすくなります。

・黒色に変色した場合

凍傷

凍傷とは、0℃を下回るような寒い場所に長時間いることで、皮膚がやけどを起こしたような状態になることです。極度の低温状態によって体の一部が血液の循環障害を起こし、細胞組織が凍結して破壊されます。

寒さにさらされ続けることで、心臓から遠い場所にある耳先やしっぽなどの末梢血管が収縮して細くなり、血液の流れが悪くなって血栓ができます。すると血液循環が滞って体の隅々にまで酸素が行き渡らず、耳先などがチアノーゼを起こして紫色になります。さらに対処をせずに寒い場所にい続けると、赤く腫れたり、むくんだり、水疱ができたりといった症状が段階的に現れます。また、患部にはかゆみや痛みもあります。

皮膚の深い層にまで影響が及ぶと、耳先などは黒っぽくなって萎縮し、まるでミイラのように硬くなって脱落してしまいます。脱落しなくても、黒くなった耳先などの皮膚は治療することができません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?耳先の変色は、いきなり酷い状態になることはなく、最初はごく小さな症状しか出ないことがほとんどです。そのため、日にち薬でじきに治る、と判断する飼い主も多いのではないでしょうか。

しかし、例えば日光皮膚炎は放置することでがん化する危険性があり、疥癬は非常に強いかゆみで猫を苦しめます。何でもないような小さな異変でも、発見した場合は、なるべく早く動物病院に行かれることをおすすめします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です