私たち人間を含めて、動物は様々な方法でコミュニケーションを取っています。その中でやはり重要なのは言葉によるコミュニケーション。私たちは猫の「言葉」は理解できませんが、それでも猫の「声」を聞くことはできますね。今回は猫の「鳴き声が急に変わってしまったら?」を考えてみましょう。
声変わりの主な原因。喉頭炎ってどんな病気?
鳴き声が変わった場合、一番に考えるのは病気です。その中でも最も多いのが喉頭炎。喉頭というのはいわゆるのどの部分で、ヒトと同じく声帯がある場所です。その場所が炎症を起こすのが喉頭炎であり、そうなれば声が変わってしまうのは当然ですね。
ヒトが風邪をひいて声が出なくなると同じく猫ちゃんも風邪をひき声が枯れることがあります。猫ちゃんの風邪は猫伝染性鼻気管炎(FVR: Feline viral rhinotracheitis)と言われるヘルペスウイルスが原因の感染症です。ヒトの風邪とは全く違うものですので、ヒトにはうつるませんし、ヒトが風邪をひいても猫にはうつりません。
FVRでは以下のような症状が出ます。
- 鳴き声の症状:低くなる、だみ声、出にくい、出ない
- その他の症状:くしゃみ・鼻水・結膜炎・発熱
FVRは、基本的には飲み薬や点鼻薬、インターフェロンの注射などによって治療します。子猫ちゃんでは重症になることもありますが、大人の猫では重症になることは少ないです。自然に治ることもありますが、早めに病院へ行ってもらうのが早く治る一番の近道です。猫によっては風邪が治っても声だけ治らないということもあります。
猫用の混合ワクチンのほとんどにはこのウイルスのワクチンが含まれていますが、ヒトのインフルエンザワクチンと同じで100%感染を防げるわけではありません。ワクチンを打っていてもかかってしまうことがありますので、注意しましょう。
他には、喉のポリープや刺激物を吸い込んだなどという理由で声が変わることもありますが、圧倒的にFVRによる声変わりが多いです。
変な鳴き方? 発情でも声が変わる
病気以外に声や鳴き方が変わることがあります。それが発情です。
避妊や去勢手術をしていない子はもちろん、している子でも癖になっていたり他の猫ちゃんに触発されて発情に近い行動をとることがあります。
鳴き方は猫によって違いますが、共通するのは「大きな声」と「鳴く頻度が異常に増える」「しつこく鳴く」という点です。「ウワォーン」と低い声で鳴く子もいれば甘えたように「みゃーお」と鳴く子もいます。男の子も女の子も鳴きます。他に女の子では、異常に甘えてきて、ヒトに体をこすりつけたり、ゴロンゴロンと転がって床に体をこすりつける、しっぽの付け根を撫でるとしっぽを上げるような動作をする子もいます。
発情の場合はくしゃみや鼻水も出ませんし、行動が明らかに変わってきますので、FVRと区別することは比較的簡単です。避妊や去勢手術をすることで収まることが多いですし、時期が過ぎれば落ち着くことがほとんどです。他の猫の発情につられて起こることが多いので、野良猫が見えないようにし、他の猫の存在を感じないようにさせましょう。
たまには猫の声を聞いてみてください!
たくさんしゃべる猫、たまに何かを訴えてくる猫、ほとんど鳴かない猫。猫によって個性はいろいろです。言葉は通じなくても、猫の「声」を聞くことでわかることはたくさんあります。たまにはお家の子の「声」を真剣に聞いてみてください。病気や発情の判断だけではなくて、もしかするとお家の猫の「言葉」もわかるかもしれませんよ。
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