猫の病気の中でもなかなか症状が出にくく、気づいた時には危険な状態になっている病気の一つに急性肝炎があります。肝臓は臓器の中でも最も重要な機能を担っている器官になり、この肝臓に炎症が起こり正常に機能しなくなるとさまざまな体の不調が現れるようになります。一度発症してしまうと命の危険もある猫の急性肝炎は早期発見、早期治療が何よりも大事なポイントです。今回はそんな急性肝炎について詳しく見てみましょう。
猫の急性肝炎の原因
肝臓は臓器の中でも解毒、分解、ビタミンやホルモンの生成、消化酵素の生成など数多くの機能を担っている臓器です。この肝臓が炎症を起こす主な原因は細菌などによる侵入と病原体への感染、薬物による中毒、外的要因の4つに分けることができます。
細菌などによる侵入
何らかの原因によって外部から肝臓が傷ついてしまうことで傷口から細菌が侵入し、そこで免疫反応が起こり炎症を起こしてしまいます。具体的には腹部への注射の傷口からの侵入などがあります。
病原体への感染
猫伝染性腹膜炎ウィルス、ヒストプラズマ、ブラストミセス、コクシジオイデス、ピシウム、ミコバクテリア、バルトネラ属、肝吸虫、フィラリアなどのウィルスや真菌、細菌、寄生虫に感染してしまうことで体の中に菌が広がり肝臓が炎症を起こしてしまうことがあります。
薬物による中毒
銅やヒ素、水銀などの化学物質やホルモン剤、麻酔薬などの薬物が原因となり、急激に肝臓の細胞が傷ついてしまうことがあります。
外的要因
交通事故や高いところからの落下などで肝臓にダメージを負った場合、肝臓機能がストップし肝炎を発症してしまうことがあります。
急性肝炎の症状とは?
急性肝炎は肝臓細胞が急激に傷つき破壊されたり、炎症が起こり正常に機能しなくなったりすることで発症する病気です。肝臓が持つ働きが非常に多いため、その症状の出方もさまざまです。また肝臓は体の中でも重要な働きを持つ器官のため、少々の炎症や破壊ではその症状が表に出ないようになっており、重症化してから気づく場合がほとんどです。しかしその場合、手遅れとなることも多く早期発見、早期治療が非常に重要です。
初期・中期の症状
元気がなくなり、食欲不振、嘔吐や下痢を繰り返すようになります。多飲多尿が続き、震えやお腹が腫れることもあります。
重度の症状
初期・中期の症状に加え、皮膚がもろくなり歯茎などで出血しやすくなり、腹部を触ると嫌がるようになります。吐血をしたり、黒色便をしたりすることもあり臓器内での出血もあります。痙攣や昏睡などの症状が見られ、歯茎や耳の内部、白目に黄疸と言われる黄色く変色する症状が出るようになります。黄疸が出てしまうと非常に危険な状態です。
急性肝炎から愛猫を守るために
急性肝炎を発症してしまった場合、どの段階で治療を行えるようになるのかが愛猫の命を守るポイントです。初期の状態で治療がうまくいけば治ることもある急性肝炎ですが、重度の症状を発している場合完治が難しいことがほとんどです。症状が軽い場合では肝臓に栄養を与え、ビタミン剤や糖質、たんぱく質などで栄養を補うことで肝臓機能が回復することもあります。それでもほとんどの場合で発見が遅く、対処療法が施されることがほとんどです。対処療法では症状の軽減を目的とした、輸血や抗生物質の投与、栄養補給、安静、食事療法などを行っていきます。また外科的手術で腹腔鏡手術や超音波誘導、肝臓の一部摘出などによって治療を行う場合もあります。
愛猫を急性肝炎から守るためにはまずは定期的に検診を受けるようにし、早い段階での病気の発見、治療が何よりも大事なことです。またウィルスや寄生虫、菌による急性肝炎であれば定期的なワクチン接種で防げる場合もあります。
まとめ
大切な愛猫の命さえも危険にさらしてしまう可能性がある急性肝炎は、飼い主が気付かないところでどんどん進行してしまう非常に厄介な病気です。急激に症状が進み、あっという間に猫の体を蝕んでしまう急性肝炎とは時間との勝負と言っても過言ではありません。愛猫の健康を守ってあげるためにも些細な症状も逃さないようにし、異変が見られた場合にはすぐに病院に行くようにしましょう。
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