猫の毛包虫症〜原因・症状と対策

猫の皮膚の病気の一種で毛包虫症と言われる病気をご存知でしょうか。通称ニキビダニ症ともいわれるこの毛包虫症は、猫では実は珍しい病気でどちらかと言えば犬に多くみられる病気です。それでも猫が発症してしまうこともあり皮膚に炎症が見られたり、ニキビのような症状が見られたりし、猫の皮膚の状態を悪化させてしまいます。今回はそんな猫にも起こりうる毛包虫症について詳しく見ていきましょう。

猫では珍しい毛包虫症の原因

猫では比較的、発症しにくい病気として言われている毛包虫症ですが、特に若年の猫や子猫で多く見られる病気です。毛包虫症は猫の体に常駐している2~3㎜程度の細長い猫ニキビダニが原因で発症する病気です。このニキビダニが猫の皮膚表面や毛包、皮脂腺に寄生して炎症を引き起こすことで毛包虫症を発症してしまいます。原理としては人間のニキビと同じようなもので、そこからニキビダニ症と言われています。普段私たちの肌に存在しているアクネ菌と同じようにこのニキビダニが何らかの原因で増殖することによって毛包虫症になってしまします。

基礎疾患が原因でニキビダニが増殖してしまう場合

猫の毛包虫症は年齢関係なく発症してしまう病気です。特に高齢で発症する場合には何らかの基礎疾患の影響だと考えられています。具体的には甲状腺機能亢進症、猫エイズウィルス感染症、猫白血病ウィルス感染症、糖尿病、扁平上皮癌などがあります。

免疫力低下によりニキビダニが増殖してしまう場合

生まれたての子猫や若年の猫、高齢の猫などで免疫力があまりない場合、毛包虫症を発症してしまうことがあります。特にシャムネコとバーミーズは免疫力系統があまり強くなく、発症しやすい猫として知られています。はっきり免疫力と毛包虫症の関係はまだ解明されていませんが、何らかの形で関係しているとして研究が進められています。

毛包中の症状とは?

猫の毛包虫症は、ニキビダニが毛包と言われる毛根に寄生して皮膚が炎症を起こしてしまう病気です。特に頭や顔面の周囲、首などの皮脂腺が多く集まっている部分に発症しやすく、皮脂やフケをエサにどんどん繁殖していき、悪化していくと全身に広がっていきます。毛包虫症を発症した部位は脱毛したり、フケ症状を起こしたり、赤くただれたりすることもあります。またニキビダニ症と言われる通り、毛包に寄生するので角栓を詰まらせ、ニキビのようなブツブツや黒いボツボツを発症させることもあります。

どんどん症状が悪化していくと猫自身が皮膚に痒みを覚えるようになり、爪などで引っ掻いてしまうことで肌が荒れていき、出血を伴ったり化膿してしまったりすることもあります。痒みの程度は猫により異なり、痒みがほとんど出ない猫もいます。重症化してしまうと膿皮症を引き起こしてしまうこともあり、ばい菌などが侵入してほかの皮膚病を併発してしまう場合もあります。

毛包虫症から愛猫を守るために

猫の毛包虫症は、猫の体に常駐しているネコニキビダニが増殖することによって発症する病気です。このネコニキビダニは猫の体に常駐しているものになり、すべてを駆除することができるものではありません。しかし、通常であれば悪さをしないはずのネコニキビダニが何らかの原因で増殖してしまうことで毛包虫症を招いてしまいます。治療にはこの原因を突き止めてネコニキビダニが増殖しない環境を作っていく治療が行われます。基礎的疾患が原因でネコニキビダニが増殖している場合は、基礎疾患治療を行いながらダニの駆除を行っていきます。免疫力が低下している場合では抗生物質を投与しながら免疫力を高める治療を行います。

食生活の乱れやストレスなどが原因で免疫力が低下してしまい、ネコニキビダニが増殖しやすい環境が出来上がってしまいます。特に疾患がない場合は、愛猫の健康管理に十分気を使ってあげることで毛包虫症は予防できる病気です。猫にとってできるだけストレスの少ない環境を整え、食事の栄養バランスを考え、生活環境を清潔に保つことが何よりも毛包虫症を引き起こさせない対策になります。

まとめ

猫の毛包虫症はそれほど発症率の高い病気ではありませんが、免疫力の低下や基礎疾患によって発症しうる病気です。疾患がないにもかかわらず毛包虫症を発症してしまった場合では飼い主がしっかりと愛猫のことを考え、ストレスを与えていないか、食事のバランスはどうかなど考えてあげる必要があります。猫は自分で毛づくろいができる生き物ですが、愛猫とのスキンシップを図りながら猫の体に変化がないかよく観察することも毛包虫症予防につながりますよ。

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