見た目にもショッキングな病気として知られている猫のハエウジ症をご存知でしょうか。ハエウジ症は読んで字のごとく、ハエやハエの幼虫であるウジが猫の体に寄生する病気です。特に春から夏にかけて多く発生する病気で、ハエウジ症は人間も含めてすべての動物に発生する可能性があるものです。通常であればハエウジ症にかかることもない猫ですが、もしも愛猫にハエウジ症が見られたら死期を覚悟する必要もあります。
高齢猫に多いハエウジ症の原因について
猫のハエウジ症は傷口や肛門からハエの幼虫であるウジがわき、皮膚を食い破って皮下に侵入した状態のことを言います。ハエには非常に多くの種類があり、その中のいくつかのハエは哺乳類動物の皮膚に穴を掘って寄生し、そこから栄養を取りながら繁殖していくものもいます。通常の元気な猫であれば、ハエが自分の体の近くを飛んでいると尻尾で振り払ったり、体に止まったりするのを防ぐことができますが、高齢の猫や免疫力が著しく低下した猫はハエが自分の体に止まっても追い払うことができません。そうなるとハエに卵を産むすきを与えてさせてしまい、寄生されてしまうようになります。
傷口から寄生されるパターン
皮膚の表面にある傷口にハエが卵を産み付けたり、幼虫が侵入したりすることによってハエウジ症を発症します。高齢の猫で床ずれを患ってしまい動けないような猫ではちょっとした傷口を放置しておくことでハエウジ症を発症してしまう危険があります。
肛門から寄生されるパターン
特に死期の近い老齢の猫では肛門や外陰部といった角質層の薄い部分からハエウジ症を発症してしまうことがあります。
屋外飼育によって寄生されてしまうパターン
ハエが多く発生する春から夏にかけて屋外で飼育されている猫では感染率が非常に高くなります。
ハエウジ症がもたらす症状とは?
ハエに卵を産み落とされた初期の段階のハエウジ症ではほとんどの場合飼い主が気付くことができません。卵を産み落とす段階では、創傷型と言われる皮膚の表面に産み落としたタイプ、せつ型と言われる傷口に垂直に埋め込んだタイプ、移行型と言われる皮膚の下を移動させていくタイプの3つに分けることができます。その状態では毛が生えているネコではほとんど皮膚の異変に飼い主が気付くことができず、状態が悪化して手遅れになってから気づくようになります。
初期症状
皮膚が赤くはれたり、化膿してしまったり、しこりのようなものを感じられます。体の中で異変が起きている猫にとっては非常に激しい痛みが伴うこともあり、夜泣きする猫もいます。
中期症状
皮膚が二次感染を起こし化膿部分がどんどん広がっていきます。体から強い悪臭が出るようになり、不眠に陥る猫もいます。皮下で幼虫が鼻腔へ移動した場合鼻水やくしゃみを伴ったり、咽頭へ移行した場合呼吸困難になったり、脳へ移行した場合運動失調や麻痺、脳梗塞を引き起こすこともあります。
重度症状
傷口や毛穴からウジがわくようになり、体中にウジが確認できるようになります。激しい嘔吐や下痢、血便を繰り返し、悲鳴を上げるように泣き叫びます。死期まですぐです。
ハエウジ症から愛猫を守るために
ハエウジ症を発症してしまった場合、早い段階で治療を行えば命が助かることもあります。しかし、老齢や免疫力低下でハエウジ症に寄生されてしまっているので回復を見込めない場合がほとんどです。傷口から侵入した卵や幼虫が患部から広がりを見せていないような状態ではその部分の皮膚を局所麻酔などを施し切開して取り除くことが可能です。全身に広がっているような場合では抗生物質を服用しながら薬剤投与で幼虫を殺虫していくこともあります。ほとんど生存が見込めないような場合では鎮痛剤を施し、愛猫の痛みを軽減してあげるような場合もあります。
ハエウジ症に感染させないためには、老齢や免疫力低下で動けなくなった猫をいかに清潔に保ちながらハエに寄生させないかがポイントになってきます。特に夏場などはハエが発生しやすい環境なのでちょっとしたすきにハエに寄生されてしまうこともあります。ハエウジ症は死期が近い合図ともいわれる病気ですが、非常に激しい痛みを伴うもので、寄生されてしまうと愛猫に穏やかな衰弱死を迎えさせてあげることもできなくなってしまいます。床ずれを作らせないように注意を払ったり、ハエが猫の体の周りに寄ってこないような工夫を凝らしたりして最後までしっかりと愛猫を守ってあげましょう。
まとめ
ハエウジ症は何も猫だけが発症する病気ではありません。通常であればハエウジ症に感染することのない猫ですが、老齢や免疫力低下によって愛猫が寄生されてしまうこともある病気です。早い段階で飼い主が気付くことができれば治療を行うことも可能ですが、何よりも衰弱してきた愛猫にまずは寄生させないことが何よりも大事です。ずっと連れ添ってきた愛猫だからこそ最後までしっかりと看取ってあげられるようしっかりと考えましょう。
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