猫の前房出血〜原因・症状と対策

数ある猫の目の病気の中でも失明してしまう確率が非常に高く、ほかの目の病気を併発してしまう危険もあるのが前房出血です。ほとんどの人が聞いたことのない前房出血という病気ですが、見た目がショッキングなこともあり愛猫の眼球内に出血を発見して慌ててしまう飼い主の人もよくいます。今回はそんな前房出血について詳しく見ていきましょう。

猫の前房出血の原因

前房出血は前眼房と言われる目の角膜と虹彩の間に出血が起きてしまう病気で、愛猫の眼球内に肉眼で出血が確認できる、少しショックな病気です。見た目ほど痛みを伴わないことが多い前房出血ですが症状が長引くと視力障害や慢性緑内障を招いてしまうこともあります。その主な原因は下記のようになります。

外傷によるもの

交通事故や猫同士の喧嘩、木の枝や虫が目に入るなど外部から目に強く物が当たることが要因で眼球内の虹彩もしくは毛様体が傷ついてしまうことにより発症してしまうことが最も大きな原因です。

病気によるもの

外傷による原因の次に前房出血を起こしてしまう原因と言われているのが血液や血管の異常を招いてしまう病気によるものです。特に頭部を中心とした部分での血液や血管に異常をきたす病気にかかってしまった場合、前房出血を招いてしまうリスクは非常に高くなります。主な病気としては慢性網膜剥離、緑内障、白内障の術後、眼内腫瘍、高血圧、ブドウ膜炎、血液の凝固障害、血管の弱化、窒素、寄生虫による血液障害などさまざまな病気がもとで発症してしまうことがあります。

生まれつきによるもの

先天性による前房出血の疾患はほかの原因2つと比べてそれほど多くありませんが、血液や血管にかかわるような先天性疾患を患っている場合は注意しておく必要があります。先天性眼異常や先天性血管異常などがある場合は気にかけておきましょう。

危険な目の前房出血のその症状

眼球全体、もしくは黒目の部分が真っ赤に出血するので明らかに目に異常をきたしているのが見てわかります。血を伴う眼球の見た目はショッキングで飼い主も慌てることが多い前房出血ですが、痛みはそれほどない場合がほとんどです。

軽度の症状

軽症の場合は数日で完治することもあります。眼球が真っ赤に染まり、愛猫が目を気にするしぐさを頻繁にとるようになります。徐々に悪化していくと歩行が不安定になり、視力低下を引き起こすこともあります。素人判断で動物病院受診を行わないのは、症状悪化を招く危険が伴います。

重度の症状

症状が重くなってくるにつれて激しい痛みを伴うことがあります。特にブドウ膜炎を併発すると非常に痛みを伴うため、愛猫の様子が一変します。歩行障害が起こり、著しく視力が低下することもあります。慢性緑内障を併発してしまうこともあり、症状がどんどん進行していくと最悪の場合には失明をしてしまうケースもあります。一刻を争う事態なので、早い段階での動物病院受診が非常に重要になります。

愛猫を守るための対策

前房出血の場合、素人判断で動物病院受診を遅らせてしまうことは非常に危険です。もちろん軽症の場合、医師の判断で経過観察という方法がとられることもあります。この場合、時間を置いておけば眼球内の血液が体内に吸収されて治癒してしまうこともあります。しかし、誤診をしてしまうと失明の危険もあるので必ず医師の診察を受けるようにしましょう。検査内容は血液検査や眼圧検査、超音波検査などがあり、出血がひどい場合には止血剤や消炎剤などの投与、もしくはステロイド薬の点眼によって治療を行っていきます。

ほかの病気を併発してしまっている場合には、自然治癒での完治が遅くなってしまいます。まずは併発した病気の基礎治療を行いながら前房出血の治療を行っていきます。瞳孔の大きさを調整する虹彩部分の癒着を防ぐために強制的に開閉することもあります。眼圧が高いままだと緑内障や視力障害、失明の危険があるため眼圧検査を行いながら眼圧を下げていく治療を行うこともあります。

まとめ

失明のリスクが非常に高い前房出血は様々なことが要因で起こってしまう危険のある病気です。特に外飼いの猫の場合、猫同士の喧嘩や交通事故、高いところからの落下の危険に遭遇する確率が高く、飼い主が気づかないうちに前房出血を起こしている危険もあります。また血液や血管にまつわる疾患からの併発で前房出血を引き起こしてしまうリスクも十分にあります。愛猫の目に異変を感じたら様子を見ようと考えるのではなく、早急に動物病院を受診し、早期治療を行えるよう心がけましょう。

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