猫の角膜裂傷〜原因・症状と対策

目の病気の中でも特に猫だからこそ起こしてしまう確率の高い、角膜裂傷といわれる病気をご存知でしょうか。目の病気と言われれば思いつくのは視力低下や白内障などですが、猫たちにとっては視力低下よりも注意すべき病気がこの角膜裂傷といわれる病気です。猫だからこそ飼い主が気を付けるべき病気でもあり、放っておくと失明の危険もある角膜裂傷について詳しくみていきましょう。

失明にもつながる角膜裂傷の原因

角膜裂傷は目の黒目の部分を覆っている膜のことで、この角膜が傷ついてしまったり破れて損傷してしまったりする病気です。私たち人間であればこの角膜が傷つくということはほとんどありませんが、猫の場合この角膜を傷つけてしまいやすい環境下にいるということを飼い主がしっかり把握しておくことが大事です。角膜裂傷の主な原因は2つあります。

外界からの圧力

外界からの圧力とは、外から何らかの力が加わり角膜を傷つけてしまうことです。危険な可能性としては猫自身が眼球を強くこすりすぎてしまったり、走っているときに木の枝が目に入ってしまったり、虫やゴミなどが目に入ったりして角膜が傷ついてしまうようなことがあります。また猫同士の喧嘩で目をひっかかれることも角膜裂傷につながる要因になります。

内側からの圧力

内側からの圧力とは、直接眼球を傷つけるようなことがなくても何らかの理由で眼球内部に圧力がかかり、内側から角膜を傷つけてしまうことです。可能性としては交通事故や高いところからの落下などで、頭部を中心とした部位に強い衝撃を受けることによって眼圧が変わってしまい角膜裂傷につながってしまうことがあります。また稀に角膜炎や角膜潰瘍にかかってしまった結果、眼圧が変わり角膜裂傷を引き起こすこともあります。

角膜裂傷の症状

角膜裂傷の症状は穿孔型といわれる見た目に明らかにわかるほど傷が完全に角膜を突き破っているタイプのものと、非穿孔型といわれるよく観察しないとなかなかわかりにくい傷が角膜の途中で止まっているタイプのものがあります。傷が浅ければ自然と傷口が閉じることもありますが、放っておくと症状がどんどん悪化していくこともあります。

軽度の症状

軽度の症状では角膜炎と同じような視力低下や眼球の痛み、異物を感じるなどの症状が現れます。目に違和感を覚える猫は目をこするようになったり、まばたきの回数が増えたり、涙が出やすくなったりすることもあり、角膜が白く濁って見えることもあります。

中度の症状

中度の状態になると眼圧がさらにかかるようになり、眼房水といわれる水晶の中の水が流れ出てきて角膜をゆがませてしまうようになります。

重度の症状

重度の症状では眼球の表面上に眼球内部のものが出てきてしまいます。この場合は内容物を目視で確認できるほどになり、対応が遅くなると眼球全摘出や失明の危険も非常に高くなります。

角膜裂傷から愛犬を守るための対策

愛猫の目に異常を感じたり、愛猫に角膜裂傷のような症状が現れた場合は急いで動物病院を受診し、診断してもらうことが何よりも大事です。また猫同士の喧嘩にあった様子が見られたときや交通事故や高いところからの落下などをしてしまった場合、外傷が見当たらなくても用心して獣医師に診せておくと早い段階で角膜裂傷に気づくことができます。

傷が軽度の場合であれば抗生物質の投与や状態が悪化しないための運動療法などを行って治療していきます。角膜に深い穴が開いているような状態がひどい場合には、角膜自体を縫合する手術を行うこともあります。症状が重傷で、傷が大きく眼球内部の水晶体が外に出てきてしまっているような場合には眼球そのものを摘出し縫合してしまうこともあります。角膜裂傷を引き起こさないためにも完全室内飼いにし外界からの危険を避け、また頭部を中心とした強い衝撃を愛猫に与えないような環境を整えてあげることが非常に大事になります。

まとめ

猫にとって視力低下よりも白内障よりもかかりやすい角膜裂傷という病気は、猫だからこそ引き起こしてしまいやすいものです。また猫は犬に比べて視力に非常に頼っているところも多く、その目に異常を感じれば激しく動揺を引き起こしてしまったり、生活に支障をきたしてしまったりすることもあります。自然治癒で治ることもある病気とはいえ、素人判断で愛猫の視力を失わせてしまっては大変です。愛猫の様子がおかしいと感じたら早急に動物病院を受診させてあげましょう。

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