猫も高齢になると毛艶が悪くなってきたり、食欲がなくなってきたり、体重が減ってきたりします。これらは単なる老化現象ととらえることもできますが、猫が10歳を過ぎたら気をつけたい症状でもあります。「慢性腎不全」という病気でも上記のような症状が現れるからです。
この病気の発症率は10歳前後では約10%ですが、15歳になると約30%と増加します。またこの慢性腎不全は高齢猫の死因の上位に挙げられるほどポピュラーな病気です。そのため高齢猫で上記のような症状が現れたら一度「慢性腎不全」を疑って動物病院に行き、検査してもらいましょう。
ここではそんな「慢性腎不全」についてみていきたいと思います。
猫の腎臓
人間同様、猫にも腎臓があります。腎臓は2つあり人間同様、血液中の老廃物をろ過し、尿として排出する役割を果たしている臓器です。
猫は元々、乾燥した地域で育った動物なので、本来あまり水を飲まない動物であるといわれています。そのため水量の少ない濃いおしっこを作り、もともと腎臓に負担がかかりやすいといわれています。しかし、腎臓に負担がかかって、ある程度ダメになってしまっても症状に出ることはほとんどありません。もう一方の腎臓が、ダメになった部分をフォローする働きをしてくれるからです。事実、慢性腎不全を疑って検査して異常が見つかるのは腎機能の約7割が既にダメになってしまっている時なのです。
慢性腎不全を疑ったら
冒頭にも触れたとおり、毛艶が悪くなったり、食欲がなくなったりして元気がないなと思ったら、動物病院に行きましょう。慢性腎不全の疑いありと診断されたら、ほぼ間違いなく血液検査を行います。慢性腎不全の場合BUN、クレアチニン、P(リン)といった値が上昇します。初期なら規定値を少しオーバーした程度なのですが、前節でも触れたとおりそれでも腎臓の約7割が機能しなくなっている状態です。
慢性腎不全になった場合、脱水等の症状が現れるので輸液を行い体内の水分を補います。初期から中期の慢性腎不全なら食事と輸液で少しでも腎不全の進行を遅らせる治療を行います。残念ながら、現段階ではダメになった猫の腎臓を再生させるような医療技術はありません。そのため進行を遅らせるといった対処療法しか手立てがありません。
末期になりますと腎臓がほとんど働かなくなり、腎性貧血や尿毒症の危険があります。特に尿毒症になりますと、体に毒素が回り痙攣等を起こし予断を許さない状況になります。このような場合、残念ながら予後不良です。
以上のように大変怖いのが猫の慢性腎不全です。高齢になった猫を飼っているのであれば、一度この病気について向き合ってみましょう。
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