猫の動脈管開存症〜原因・症状と対策

動脈管開存症は、どちらかというと犬で多く見られ、猫では少ないものです。しかし、先天性である為、症状が子猫のうちに出ることもあれば、年齢がいった時に心雑音で気づくという場合もあります。心臓と肺に関わる病気である為、命への危険性も高い病気です。猫の動脈管開存症が起る原因と症状、そしてその治療や気をつけるべきことについてご紹介します。

猫の動脈管開存症の原因

猫の動脈管開存症の原因は、その猫が母猫のお腹の中にいる時にまでさかのぼります。肺、心臓、血液の流れは新鮮な酸素を体に送る為にもとても大切なものです。しかし、胎児の時と出生後はこの血液の流れは異なります。大動脈と肺動脈の流れを作っていた動脈管がこの病気の原因を作ります。

猫の肺は、胎児の間は小さく縮んでいます。肺呼吸はしない為、心臓から肺への血液の流れは動脈管という血管によって行われ、血液の流れが無駄なく大動脈に送られる仕組みになっているのです。しかし、母猫のお腹から誕生した猫はその瞬間から肺呼吸が始まります。肺を使って酸素を取り込むようになると、血液の流れが変わり、今まで使っていた動脈管が必要なくなります。本来、必要なくなった動脈管は生後数日の間に塞がるものなのです。

しかし、この動脈管が塞がらないままになると、正常な血液の流れを保つことができずに逆流が起こってしまいます。大動脈から肺動脈に血液が逆流してしまうことで、心臓や肺に様々な影響を及ぼします。先天性の心臓病が、猫の動脈管開存症なのです。

猫の動脈管開存症の症状

猫の動脈管開存症の症状は、血液の逆流が起こるため、肺に大きな負担がかかることによって全身症状として現れます。また、血液の逆流によって心筋がどんどん厚くなり、左心室が肥大してしまいます。この心肥大が起ると、心雑音が聞こえるようにもなります。

無症状でそのまま成長していた猫が、運動を嫌がるようになったり、すぐに疲れてしまうといった状態になり、心臓を調べるとこの動脈管開存症だったと病気が見つかるケースもあります。一方で、生後数ヶ月の間に呼吸困難や食欲不振を起こし、亡くなってしまうケースもあります。

猫の動脈管開存症の症状として、ケホッケホッと喉をつまらせるような咳が出る場合、特に興奮した際や運動直後などの様子に変化があった場合は心臓に負担がかかっている状態として代表的なものです。また、元気がなくなったり、体重減少、ひどくなると、肺に水がたまったり、血流が悪くなることでチアノーゼを起こしてしまうこともあります。様々な合併症を伴い、命の危険に関わる症状が出るため、注意が必要なのです。

猫の動脈管開存症の対策

病院での治療

猫の動脈管開存症の対策や治療ですが、基本的に内科の治療は症状の軽減のみで具体的な治療にはなりません。薬物治療では、血管拡張剤や利尿剤、強心剤などを使います。動脈管を閉じる手術やカテーテル手術を行うこともありますが、とてもリスクの大きな手術でもあります。外科手術が成功し、その後の治療もうまくいけば普通の生活を送ることができるようになりますが、すでに症状が進行していて手術自体ができないというケースもあります。いずれにしても、獣医師としっかり相談することが必要になります。

普段の生活

普段の生活では、激しい運動を控えること、興奮させないようにすることがとても大切です。特に多頭飼いをしている場合は注意が必要です。また、普段の食事がカロリーオーバーにならないこと、塩分を控えることも必要になります。

定期的な健康診断なども大切になります。もともとは犬で多くみられる動脈管開存症ですが、猫の中でもシャム猫やペルシャ猫、チンチラ猫などに多いと言われています。しかし、どんな猫でもなんらかの異変に気づいた時は、早めに相談することが大切です。

まとめ

猫の動脈管開存症は先天性であり、手術による治療法になるという難しい病気です。普段から猫の様子を見ていて、咳など気になる症状が出た場合はすみやかに獣医師に相談するようにしましょう。

進行していく病気の為、元気がないと気づいた時には、すでに心肥大や肺水腫になっていることもあります。心雑音は定期的な健康診断でも診てもらえるものです。猫の動脈管開存症は早期発見と早期治療がとても大切な病気なのです。

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