人間医療の現場では「貧血」という症状がよく出てきますが、実は猫にも貧血症状があることをご存知でしょうか?貧血とは簡単に言えば血液中の赤血球が減少してしまう症状ですが、その原因は実にさまざまです。血液検査などで貧血が判明したら、その原因を突き止める検査を実施し治療を行う必要があるでしょう。今回は猫の貧血についてご紹介しましょう。
貧血とはどんな症状なのか?
赤血球は骨髄で生成され、猫の場合は約70日働いた後に破壊され消失するサイクルを繰り返しています。通常の健康な状態なら赤血球の生成と消失のバランスが取れているため、赤血球の数は正常範囲(ヘマトクリット値24%~45%)です。
しかしながら赤血球の生成量が低下したり、破壊される量が増えたりすると、必要な赤血球数が確保できなくなり貧血になるのです。
貧血には大きく2種類ある
貧血にはさまざまな種類がありますが、大きく2つに分けられます。ひとつが生成能力が正常であるにもかかわらず赤血球の破壊、消失が多くなることで貧血になる「再生性貧血」、もうひとつは赤血球を生成する骨髄の異常が原因で起こる「非再生性貧血」です。
再生性貧血
外傷や寄生虫、潰瘍などによる出血が原因で起こる「失血性貧血」や赤血球が70日の寿命前に破壊(溶血)してしまう「溶血性貧血」などがあります。
非再生性貧血
骨髄の中にある骨髄幹細胞に障害が出て造血できなくなる「再生不良性貧血」、慢性的な出血により鉄不足になって起こる「鉄欠乏性貧血」、ビタミンB12や葉酸が不足することによる貧血、慢性腎不全により赤血球生成を促すホルモンが不足することで起こる貧血などがあります。
貧血になった場合の症状
貧血は血液検査で分かることが多いのですが、飼い主さんの観察で傾向を読み取ることもできます。歯肉や結膜などは健康な猫の場合は赤みを帯びていますが、貧血の猫の場合、赤みがなく白っぽい色になります。また食欲不振、呼吸が苦しそう、頻脈などの症状が見られる場合もあります。
貧血の治療
貧血の原因となっている病気の治療がメインになります。治療しても赤血球の値が低い場合は輸血を行う場合もあります。
貧血は原因の特定が大切
病院で貧血と診断されたら、まず貧血の原因を突き止める必要があります。貧血は貧血の元となっている病気を治療しない限り、解決することができないからです。貧血の原因は多岐に渡りますので特定までにさまざまな検査が必要ですし、最終的な診断まで時間が掛かる場合もあります。日頃から猫の血色に注意する、定期的に健康診断を受けるなどして早目に貧血を発見することが大切です。
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