「トキソプラズマ症」は、トキソプラズマという原虫に感染することで起こる病気です。猫の場合ほとんど症状が出ないことも多いのですが、トキソプラズマは猫の便などを介して人間にも感染します。
女性が妊娠中に初めてトキソプラズマに感染すると、胎児に悪影響が出ることもあります。そのため、猫も人も、トキソプラズマへの感染を未然に防ぐことが大切です。
トキソプラズマ症の原因と感染経路、症状、治療法、予防法、そして妊婦とトキソプラズマの関係についてご紹介します。
トキソプラズマ症の症状
成猫の場合、健康ならほとんど症状は出ず、場合によって下痢が見られる程度です。一方、子猫や免疫力の落ちた猫の場合、嘔吐、下痢、血便や、発熱、貧血、呼吸困難、さらに運動失調まで、様々な症状が現れます。
感染した猫は、症状の有無にかかわらず、便からオーシスト(トキソプラズマの卵のようなもの)を3週間程度排出し続けます。
トキソプラズマ症の原因と感染経路
トキソプラズマに経口感染することで発症します。では、どのようにして猫の口にトキソプラズマが入るのでしょうか。
トキソプラズマへの主な感染経路は以下の通りです。
- (1)トキソプラズマに感染したネズミなどを捕食
- (2)トキソプラズマが含まれている生の豚肉や鶏肉を食べる
- (3)トキソプラズマのオーシストが混ざった土や砂、水などが口に入る
トキソプラズマは哺乳類や鳥類など幅広く感染しますが、猫だけが感染力を持ったオーシストを便から排出します。そのため、(3)のように感染した猫が砂場や水場などで排便すると、オーシストも一緒に排出され、その場が感染源となってしまいます。
トキソプラズマ症の治療法
トキソプラズマ症の治療には抗菌薬を使用しつつ、下痢などの現在出ている症状に対して対症療法を行います。
トキソプラズマ症の予防法
猫をトキソプラズマに触れさせないように、室内飼育にすることが一番の予防方法でしょう。飼い主が外で土や砂、水などを触って家の中にトキソプラズマのオーシストを持ちこんでしまうこともあるので、外から帰ったら手洗いを徹底することも大切です。
豚肉など生肉も感染源になりますが、トキソプラズマは熱に弱いため、猫に与えるときは完全に火を通してからにすれば安心です。
妊婦とトキソプラズマ症
トキソプラズマが妊婦に感染すると、胎児に胎盤感染して悪影響を与えます。そのため、感染力のあるオーシストを排出する猫と妊婦との暮らしを、周囲の人が問題視することも少なくありません。
ただ、問題なのは妊婦が生まれて初めてトキソプラズマに感染する場合のみ。トキソプラズマは「はしか」のように一度感染すると抗体ができます。抗体があれば再感染はしないため、妊娠したらまずは病院で抗体検査を受けてみましょう。
もし抗体がない場合、猫の便の処理はゴム手袋をつけて行い、生肉には完全に火を通すなど、トキソプラズマへの対策をしっかり行いましょう。他に家族がいれば、感染の危険性がある行為はなるべく代わってもらいましょう。
日頃の習慣からトキソプラズマへの感染を防ぐ
トキソプラズマ症は、猫の室内飼育や生肉の加熱など、日頃から注意することで感染を防げる病気です。
猫の場合、もし感染しても通常の免疫力があればほとんど症状が出ないため、免疫系の病気にかかっていないか、ストレスをためていないかなど、毎日気を配ることも大切です。
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