人間は年を取ると骨の密度が低くなり、スカスカになる骨粗しょう症に罹る割合が増えてきます。ところが、最近猫にも同じように骨粗しょう症が見られるようになっています。猫の場合、検診に骨粗しょう症を診断するメニューはありませんし、骨折などで初めて骨の状態が判ることが多いようです。今回は猫の骨粗しょう症についてご紹介しましょう。
骨粗しょう症ってどんな状態?
骨の内部にはもともと小さな孔が開いていますが、骨粗しょう症になると骨がスカスカになってこの孔が大きくなります。骨の密度が薄くなるため衝撃などに弱くなり、骨折したり関節に痛みが出て歩行が困難になったりすることもあります。
骨粗しょう症の原因は何?
骨粗しょう症の原因には大きく2つの要素が考えられます。ひとつは主に加齢によって起こる「原発性骨粗しょう症」。もうひとつは他の病気や薬の服用の影響で起こる二次的な「続発生骨粗しょう症」です。
原発性骨粗しょう症」
高齢になると骨の生成能力が落ちるためどうしても骨粗しょう症になりがちです。寝る時間が長くなり運動量が減ってしまうと、さらに骨粗しょう症を進行させる可能性もあります。
また、エストロゲンは骨のカルシウムを守る働きをする女性ホルモンとして知られていますが、避妊で卵巣を摘出してしまった雌猫の場合は分泌がなくなるので、これが骨粗しょう症を引き起こす可能性があります。
続発生骨粗しょう症
続発生骨粗しょう症の原因はさまざまです。副甲状腺機能亢進症、関節リウマチ、慢性腎臓病などの持病がある猫は骨粗しょう症になるリスクが高いようです。高齢の猫はかなりの割合で腎疾患を患っている可能性がありますので、特に注意が必要です。
さらにステロイドの服用が長期間に及ぶと骨への影響があると言われています。猫は比較的ステロイドに耐性があると言われていますが、それでも安心できません。長期服用を指示されたら獣医さんとも薬の飲み方について相談しましょう。
骨粗しょう症の予防と治療
猫の場合、骨粗しょう症を軽度の段階で把握し治療を開始することは難しいと言えます。ただし、正しい栄養摂取が骨粗しょう症の可能性を低くしてくれるのは確かでしょう。
カルシウムはもちろんのこと、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、ビタミンK、良質なたんぱく質などを過不足なく摂取することが大切です。
治療は主に薬物やサプリメントによる栄養補助が中心になりますが、猫の場合、実際にはあまり治療例がないのが現状です。
7歳を超えたら骨に注意
猫は高いところに上がる習性がありますので、骨が弱ると骨折のリスクも高くなります。高齢の猫の飼い主さんは特に猫にも骨粗しょう症の可能性があることを理解し、正しい食事で骨粗しょう症を予防することが大切です。
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