猫がお尻をぺろぺろなめたり、床にこすりつけて歩いていたりしたら「肛門嚢炎」のサインかもしれません。
肛門嚢はマーキングにも用いられる、強いにおいの液体をためておく袋。そこが炎症を起こす病気ですが、放置しておくと、患部を気にするあまり猫が皮膚をなめ壊したり、肛門嚢の中に膿がたまり過ぎて破裂し、肛門近くに穴が空いたりしかねません。
なぜ猫は肛門嚢炎になるのでしょうか?原因、症状、治療法、予防法をご説明します。
肛門嚢炎の症状
肛門嚢炎になると、猫はお尻をしきりになめたり、床にこすりつけて歩いたりと、お尻を気にするしぐさをしだします。
あまりになめ過ぎて自壊してしまうことも珍しくありません。そうなると痛みのせいで元気や食欲がなくなります。また、飼い主にお尻を触られるのを嫌がって怒る猫もいます。
さらに肛門嚢炎が悪化すると、細菌感染が原因で肛門嚢にどんどん膿がたまっていって「肛門嚢膿瘍」になります。やがて肛門嚢が破裂して皮膚が裂け、肛門の脇に穴が開いてしまいます。
肛門嚢炎の原因
肛門嚢は、肛門を中心に時計の4時と8時の位置に一対あります。肛門嚢には肛門腺で作られた分泌液がためられており、通常は排泄時に便に混じるなどして排出されます。
その肛門腺の出口が詰まったり、肛門嚢内に細菌が感染したりすることで炎症を起こした状態が肛門嚢炎です。細菌感染は下痢などで肛門周囲が汚染されていると起こりやすくなります。
肛門嚢炎の治療法
肛門嚢炎の治療は、肛門腺絞り、肛門嚢内の洗浄、そして抗生物質や抗炎症剤の投与を症状に合わせて行います。
肛門嚢炎の予防法
一度肛門嚢炎を発症した猫は、肛門嚢にたまった分泌液をうまく排出できず再発する可能性があります。そのため、月に1回程度「肛門腺絞り」を行って分泌液の排出を促しましょう。
肛門腺絞りは以下の手順で行います。
- 片手で猫のしっぽを持ち上げ、反対の手でティッシュを持ちます
- ティッシュを持った手の親指と人差し指を、肛門嚢の位置にあてがいます(時計の4時と8時の位置)
- そのまま親指と人差し指をきゅっと上に押し上げ、肛門嚢から分泌液を絞り出します
何度も肛門嚢炎を繰り返している場合は、外科手術で肛門嚢を摘出するのも一つの手です。
肛門嚢が破裂しないように、定期的にホームケアを
肛門嚢炎や肛門嚢膿瘍、肛門嚢の破裂を防ぐためにも、定期的に猫の肛門腺絞りをすることが大切です。最初は難しいかもしれませんが、何度かチャレンジするうちにコツがつかめるようになります。
ただ、猫が肛門腺絞りを嫌がったら深追いせず、動物病院で絞り方などについて相談してください。
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