最近、猫があまり動かない、ちょっと息が苦しそう…もしそんな症状があったとしたら、その猫は心臓疾患を患っている可能性があります。
心臓は筋肉のポンプで血液を全身に送る大切な役割を果たしていますので、その心臓に疾患を抱えると全身に影響が出てきます。
人間の場合は心臓疾患というと心筋梗塞が頻繁に起きる病気として頭に浮かびますが、猫の場合に多いのは肥大型心筋症です。今回は、肥大型心筋症についてご紹介しましょう。
肥大型心筋症とはどんな病気?
肥大型心筋症は、心臓の筋肉が厚くなり収縮力がなくなるために、全身に充分な血液が送れなくなる病気です。
元気がなく、すぐに疲れてしまったり、食欲があっても痩せてきたり、息が苦しくなったりしますが、高齢の猫の場合は年齢による老化と間違われやすく、検診などで定期的にチェックしない限り、初期での発見は難しいと言われています。
症状が進むと、目で見て分かるぐらい息が苦しくなってハァハァと口呼吸したり、咳が出たり、舌や肉球が紫色になってチアノーゼを起こしたりします。
放置すると、肺に水が溜まる肺水腫や胸部に水が溜まる胸水を引き起こし、血栓症になることがありますので、早めの発見で治療を開始することが大切です。
肥大型心筋症の治療
猫の心臓病の治療は薬品の投与中心ですので、病院で処方される薬についてご紹介していきましょう。
カルシウムチャネル拮抗剤~ヘルベッサー
心拍を落ち着かせ、血液の流れを効率的にして、心臓を休める薬です。
β遮断薬~アーチスト
興奮したときの心臓の早い鼓動を神経の働きを抑えることで落ち着かせる薬です。心拍がゆっくりになり、落ち着くと血液の流れもスムーズになり、心臓が楽になります。
ACE阻害薬~フォルテコール、エースワーカー、エナカルド
心臓の肥大に関連するホルモンの働きを抑える役割の薬です。血圧を上げる効果もあります。
強い効き目を期待できる薬ではありませんが、安全性も高く、最近では腎臓に対する治療効果も報告されているため、処方する獣医さんは多いようです。
利尿薬~アルダクトン、ラシックス
心臓病が進行して、肺水腫などうっ血の症状が出てきたら、利尿薬を処方します。
心臓と利尿がどう繋がるのか不思議に思う飼い主さんも多いようですが、尿を出させることで、体内の水分と血液中の水分を減らすと、血液全体の量も減るため、心臓の負担を減らすことができるという仕組みなのです。
肺水腫の改善などに効果がある薬ですが、逆に脱水してしまって腎臓に影響が出る場合もありますので、使用する場合は常に脱水状態をチェックする必要があります。
強心剤~ベトメディン、アカルディカプセル
弱った心臓の働きを促進する薬です。効果は高いものの心臓に負担が掛かる薬ですので、心臓が弱った時に一時的に使う薬として使用されることも多いようです。
心臓の薬は長期に渡って服用します。薬はそれぞれ効果や副作用に違いがありますので、服用の際は獣医さんによく相談して決めることが大切です。
家で注意したいこと
心臓に病を抱える猫を飼っている場合、薬で心臓をサポートする以外にも家でも心臓に負担のない環境を作ることが大切です。
家の中でもなるべく落ち着いて過ごせる環境に猫の居場所を作る、興奮させない程度に優しく撫でて、血行を促進するなどがおススメです。
また、タウリン、コエンザイムQ10、ビタミンCなどのサプリメントは心臓をサポートすると言われていますので、獣医さんと相談の上、与えてみても良いでしょう。
日頃の食事は低ナトリウム食が推奨されますので、フードの成分をよく見て選びましょう。
心臓病は完治できるわけではありませんが、薬を適切に使った治療で病気を抱えながらも長生きすることは可能です。獣医さんとの二人三脚で猫を大切に守っていくことが大切です。
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