【獣医師監修】猫はカニを食べても大丈夫?

とっても寒い日に食べたくなるのが、あったかーい鍋ではないですか?冬の鍋といえば、贅沢にカニを入れたりするお宅もあると思います。グツグツ煮込むと美味しい匂いがしてきて、猫もつられて食卓に興味津々!なんてことも珍しくないでしょう。
猫用のカニカマはよく目にするし、特別にカニをおすそわけ…とお思いのあなた。ちょっと待ってください、実はカニは猫にとって危険な食べ物なのですよ

生きるためのエネルギーを壊す?


車がガス欠になると動かなくなるように、猫も食事から作られるエネルギーが不足すると体が正常に機能しなくなり、やがて死亡します。
猫はエネルギーを作り出す手助けをするビタミンB1を多く必要とする動物ですが、このビタミンB1は体内で合成できない為食事で補う必要があります。生のカニには、この重要なビタミンB1を分解してしまうチアミナーゼという成分が含まれている為、食べれば食べるほどビタミンB1を壊し、生きる為に必要なエネルギーが合成できなくなり、体に悪影響を及ぼします。
だから猫に生のカニは与えてはいけないのです。

ビタミンが不足するとどうなるのか


ビタミンB1はエネルギーを作る手助けをしているので、不足するとエネルギーが作られなくなってしまうのはご理解いただけたかと思いますが、ただエネルギーが不足して餓死していくわけではありません。
ビタミンB1が不足した状態をビタミンB1欠乏症と言い、初期の症状は嘔吐や食欲不振、削痩(痩せていくこと)です。
進行していくと、ふらつき、起立困難、瞳孔散大、痙攣、昏睡などの神経症状が見られ、最悪の場合死に至ります。
ビタミンB1は生きる為に不可欠なエネルギーを作るだけでなく、脳からの指令を運ぶ物質の合成にも関わっているので、不足すると最終的には脳からの指令が遮断され機能しなくなるということです。
ビタミンB1は水に溶ける水溶性のビタミンである為、体内にためておくことができません。その都度摂るしかないビタミンを壊してしまうのは致命的であり、非常に危険であるといえます。

生でなければ良い?


ここまで”生の”カニと書いてきましたが、じゃあ生でなければ良いのかと疑問に思った方もいるかもしれません。
実はチアミナーゼは熱に弱く、加熱するとなくなってしまいます。ですから、加熱したカニであればビタミンを壊す心配もないので安心です。もしほんの少しだけ猫に味見させてあげたいのであれば、お湯でゆがいたカニを与えてあげてください。
人間が食べている物を分け与えるのは好ましくありませんが、ほんの少しであれば影響は少ないので欲しがるのであれば与えても大丈夫です。

猫のイメージは間違えか?


猫といえば魚などの海の食べ物が好きなイメージがありますよね。しかし実際は生の魚や貝、甲殻類にはチアミナーゼが含まれており、猫にとって避けるべき食べ物なのです。
そもそもは肉食の動物ですから、魚を食べることも野生では無かったはずですから、いつから猫=魚になったのかとても不思議ですよね。
お刺身などが食卓に並んで猫が欲しがっても絶対にあげてはいけませんから、注意して下さいね。

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