【獣医師が解説】子猫がどうしてもミルクを飲んでくれないときは・・・異変が起きる前に確認しておきましょう。

子猫にどうしてもミルクを飲ませることができない時には、まずは落ち着いて子猫の状態をよく見てあげてください。子猫が明らかにぐったりしていて元気がない場合や、保温しているにも関わらず子猫の体温が上がらない場合には、速やかに動物病院へ連れて行きましょう。また、たとえ子猫が明らかにぐったりしてはいなくても、何時間も何も口にしていない子猫をそのままにしておくことは、子猫の命に関わります。どうしても授乳がうまくいかない場合には、可能な限り早く動物病院を受診して、必要な処置を受けてください。動物病院で受ける処置は子猫の状態によって異なりますが、ここでは、子猫を動物病院に連れて行ったときに行なわれる一般的な処置についてまとめます。

問診

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子猫を保護した時にその子猫を連れて受診したことのある動物病院であれば、初診の時からの自宅での子猫の様子について伝えてください。体重の変化や授乳、排泄の記録をとっているととても参考になりますので、見せるようにしてください。
夜間などで救急動物病院を受診した場合など、初診としてその動物病院を受診したのであれば、保護した日やその時の様子についてもきちんと伝えるようにしてください。

全身状態のチェック

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まず、子猫の身体検査を行います。その後、必要に応じて血液検査、便検査などを行い、子猫の状態を把握します。子猫が重篤な状態で、一刻を争うような場合には、問診や検査と並行して子猫の命を守る為の処置が行なわれます。

子猫に行なわれる処置

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一刻を争う場合は…

子猫の命が危ぶまれており、一刻を争うような時には、速やかな処置が行なわれます。実際には問診や様々な検査結果をもとに判断しますが 、低血糖、低体温、脱水状態となっていることが多いため、ブドウ糖液を静脈から注射するための静脈点滴の準備を行ないます。もちろん、その間も子猫の保温を続けます。さらに、子猫の口の中の粘膜に少しずつブドウ糖液を湿らせるようにして与えるなどします。子猫に意識があって、飲み込むことができそうならば、少しずつブドウ糖液を舐めさせます。点滴が可能な状態になったら、ゆっくりと時間をかけてブドウ糖液を注射します。長時間何も口にしていなかったことによる低血糖や脱水、低体温だけが原因でぐったりしていた子猫であれば、点滴をはじめてしばらくすると元気に動き回りはじめた、ということもよくあります。
重篤な状態の子猫の場合には、子猫の状態が回復し、点滴や注射をせずにミルクだけで子猫が生命を維持できるようになるまでの間は入院になるケースもあります。子猫の状態により、多くの場合は半日〜1日程度の入院となりますが、時には数日間の入院となることもあるでしょう。
点滴が不要な状態まで回復すれば、自宅での授乳の指導を受けて退院となります。哺乳瓶からの授乳だけでは不十分と考えられる時などは、子猫の鼻から細いチューブを挿入して授乳することを指導される場合があります。ただし、生まれて間もない子猫の場合には、チューブからミルクを与えることが難しいこともありますので、獣医師の指示に従うようにしましょう。

子猫の状態が落ち着いている場合

どうしても子猫がミルクを飲まない場合で、ある程度子猫の状態が落ち着いている場合であれば、まずはブドウ糖液を舐めさせることで血糖値を回復させることを試みます。ただ、子猫の状態が落ち着いているように見えても、検査結果により低血糖が重度な場合には、ブドウ糖液の注射を行なうこともあります。
ブドウ糖液は子猫にとってのエネルギー源とはなりますが、子猫が健やかに成長するために必要な栄養素を十分に含んでいるわけではありません。あくまでも、緊急的な処置、一時的な処置として与えます。ブドウ糖液を与えることで子猫の元気が回復したら、必ずミルクを飲ませるようにする必要があるのです。
子猫がどうしてもミルクを飲まない場合には、鼻から胃へと細いチューブを挿入してミルクを与えることがあります。ミルクを飲みたがない子猫の口の中に無理やりミルクを入れることは危険を伴います。うまく飲めなかったミルクが気管に入ってしまい、肺炎を起こすことがあるのです。その一方で、きちんと胃へと挿入したチューブからであれば、確実に子猫にミルクを与えることができます。少しこわいと感じるかもしれませんが、動物病院でしっかりと指導を受けたうえで、必要があれば試してみてもよいでしょう。ただし、生後間もない子猫の場合は、適切な径のチューブがないためにチューブからの授乳が難しいケースも少なくありません。必ず獣医師の指示、指導に従うようにしてください。
チューブを含めた、何らかの方法で授乳が可能で、子猫の状態が安定しているようならば、ほとんどの場合で入院にはならないと考えておきましょう。

子猫はミルクなしには生きることはできません。早めの受診を!

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子猫はミルクを飲まない状態では生きることはできません。生後間もない子猫の場合は、ほんの数時間の間に急激に重篤な状態におちいってしまうこともあります。子猫の命を守る為、子猫がどうしてもミルクを飲まない場合にはできるだけ早く動物病院を受診するようにしてくださいね。また、子猫がミルクを飲んでくれなかったり、状態が思わしくなかったりすると、慌ててしまって動物病院で正確な情報を伝えられないことはよくあることです。動物病院を受診するときには、是非、体重や授乳、排泄の状態についての記録を持参してください。

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