ご存知の通り、うさぎは草食動物です。野生下では、毎日大量の草を食べて過ごしています。栄養をバランスよく配合したペレットを与えるのはごく一般的となっていますが、最近、野菜を主体とした野菜食による飼育にも注目が集まっています。うさぎの生態を考えると、野菜食はより自然に近いと考えられます。ここでは、うさぎに野菜を与える意味や、注意する点について見ていきましょう。
野草にあって牧草にないもの
うさぎをケージから出して遊ばせているとき、ちょっと目を離したすきに、ベランダの植物を全滅させてしまったという話は良くありますね。せっかく育てていたお花には可哀想ですが、うさぎは「生」の植物が大好きです。それもそのはず。うさぎがいる本来の自然環境の中では、乾燥した草も、ペレットもありません。うさぎたちはみずみずしい野草を、毎日たっぷりと食べてきたのです。野生のうさぎは水分を植物で補うため、ほとんど水を飲むことがないといいます。ペレットや牧草を食べて水を飲むのは、食べ物から水分を摂るのが難しいからなのですね。より自然に近い、というと牧草のように感じますが、かさかさに乾いた草を自然の中で食べるのは逆に稀です。また、さまざまな野草を取り混ぜて食べているうさぎにとって、たった一種類の草ですべての栄養バランスを補うのは難しいことなのです。
野菜をうさぎに食べさせるメリットって?
バリエーション豊富な野草に一番近い食べ物は、やはり野菜ということになります。うさぎにとって野菜を食べることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
- 歯やあごを丈夫にする
- ビタミンミネラルが豊富
- 胃腸の健康
- 自然治癒力
- 免疫力
- 血液の浄化作用
自然界では、うさぎは大量の草を良くかみ、良く粉砕しています。ペレットもある程度かみごたえはありますが、歯石を作りやすく、組成も自然の草の繊維とは異なります。生の野菜をサクサクと噛むことで、自然に咀嚼が多くなり口腔内の健康が保たれるのです。また、熱を通さない野菜は、ビタミンの破壊もなく、ミネラル分も豊富です。そのために、抗酸化作用が働き、自然治癒力や免疫力が向上します。ペレット食から野菜食に切り替えたところ、被毛の状態や目やにが改善した例もあります。
うさぎに野菜を食べさせるデメリットってあるの?
水分たっぷりの野菜はうさぎの健康に良さそうですが、逆に野菜を与えることのデメリットはないのでしょうか。
- 餌代がかかる
- 野菜についての知識が必要
- 手間がかかる
- うさぎの尿量が増える
- 農薬の心配がある
農家でもない限り、野菜は購入する必要があります。家庭菜園があれば助かりますが、1年を通して安定的に餌にするのは難しいでしょう。スーパーなどで購入する場合には、農薬の心配もあります。また、野菜は何でも良いわけではなく、うさぎにとって害となるものもあります。栄養バランスと合わせ、野菜についての知識がなければ、完全な野菜食は良い結果となりません。その他、野菜食にすることで食事の準備やケージの掃除など、手間がかかるといった面もあります。
理想的だけど意識が必要
うさぎフードが一般的になったのは、それだけ手軽に適度な栄養状態が維持できるからです。一方でうさぎの幸せを考えるとき、バラエティに富み、楽しんで食事ができる野菜食は理想的です。飼い主としては、大変な面も多く知識も必要となります。ある程度の覚悟で、うさぎのために取り組む気持ちが大切ですね。
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