一般に知られている通り、うさぎは肉食ではありません。肉類をあげたら食べたからといって与え続けると、大変な病気になる可能性が。草食動物であるうさぎは、基本的に動物性タンパク質を消化するようなしくみは備わっていません。うさぎの身体と肉類の関係について、正しく知っておきましょう。
稀にあるうさぎの肉食とは?
うさぎの子どもが食べられてしまうというケースは、良く耳にします。これにより、うさぎを肉食と勘違いする場合もあるでしょう。しかし、うさぎが子どもを食べてしまうのは、母うさぎにストレスがかかったり、生まれたばかりの子うさぎにヒトの臭いなどがついてしまった場合だけです。また、他のオスが子どもを襲うこともあります。いずれについても、食餌として食べているわけではなく、邪魔者を排除しようとする本能的な行為です。うさぎの消化器官は、肉食動物とまったく異なり、体の約10倍もの長さの腸をもっています。口内もまた、肉を切り裂く犬歯はなく、植物をすりつぶす臼状の歯が発達しています。栄養の乏しい牧草などからでも、エネルギーを摂取できるように腸内にはバクテリアが常に活動しています。肉食をさせるとこれらの働きが弱まり、何も消化できずに死に至ることもあります。また、腫瘍や膿腫が発生する原因ともなるのです。
肉の成分はうさぎに必要なし
草ばかりで可哀想、と考えるのはうさぎにとっては大きなお世話です。うさぎの消化のしくみを知れば、肉のタンパク質がまったく必要がないことがわかります。うさぎの食物の消化のしくみには次のようなものが挙げられます。
- 前歯で固い植物を切断し奥歯ですりつぶす
- 長い腸で固い繊維を消化
- 盲腸は胃の10倍の大きさ
- 大量に食べ続けることでバクテリアを養う
- 盲腸便を食糞する
うさぎには犬歯こそありませんが、噛まれるとかなり出血するほどの、薄く鋭い前歯を持っています。硬い繊維をもつ植物をかみ切っては、奥歯で良くすりつぶして消化しやすいかたちにします。胃は人間や肉食動物のように大きくはありません。代わりに腸が発達しており、うさぎの場合は特に盲腸がかなりの部分を占めています。ここで作られるバクテリアこそが、うさぎの健康の元となっています。うさぎを初めて飼った人は、自分の糞を食べる姿にショックを受ける様ですが、これは正常なうさぎの行動です。うさぎは、栄養価の低い草を体内で発酵させます。盲腸内のバクテリアによって合成されるたん白質、ビタミン豊富な糞を再利用することで、生きるのに十分な栄養としているのです。
うさぎに肉を食べさせるとどうなるの?
うさぎは基本的に植物しか食べませんが、固体によっては肉を食べたという話も聞きます。肉の脂のにおいを好むうさぎもいるようです。が、体のつくりそのものが、肉を消化できません。消化できない食べ物が、そのまま腸内に詰まってしまう可能性もあります。また、大切な体内のバクテリアが死滅してしまい、消化力が大幅にダウンします。その後、植物を食べても消化できなくなると、栄養が摂れず死に至ります。うさぎにとって、肉は本来入ってくるべきではない異物です。与え続けると、内臓に大きなストレスになります。うさぎは腫瘍のできやすい動物ですが、体内バランスを失うことで発症率が高くなります。
自然本来のあり方に合わせて
人間の生活の中にいるペットは、どうしてもヒト目線で見られがちです。が、どれほど可愛くても、うさぎは人間と同じものを食べられません。愛するうさぎの健康を守るためには、本来の生態に合わせた食生活を与えるべきなのです。うさぎは、肉食動物ではありません。
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