猫の早食いにはどんな危険があるの?原因や防止法・ダラ食いのデメリットも解説

食欲が旺盛な飼い猫の姿は見ていて微笑ましいものです。
しかし、あまりにもキャットフードを食べるスピードが早いと、思わず心配になってしまう飼い主さんも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、早食いが与える健康への影響をご説明しながら、早食いを防止できる対処法もお教えいたしますので、ぜひ実践してみてくださいね。

そもそも早食いは危険なの?


人間でも早食いは良くないといわれているため、飼い猫の早食いが健康面にどんな影響を与えるのか気になっている飼い主さんもいますよね。
実は猫の早食いも人間と同じで、健康に悪い影響を与えることがあるのです。
では、具体的にどんな危険性があるのかを、これから詳しく見ていきましょう。

1.誤飲の危険がある

ガツガツと早食いをしてしまう子は、誤飲をしてしまう可能性も高くなるでしょう。
猫は、においで目の前のものを食べられるかどうかを判断しています。
そのため、「食べられる」と判断したものの中に、異物が混じっていると、誤飲をしてしまう可能性があるのです。
誤飲をすると、嘔吐やしゃっくりなどが見られるようになります。
飼い猫の誤飲を防ぐためには、早食いを防止するのと同時に、危険なものを猫の周りに置かないよう、注意していきましょう。

2.肥満に繋がる

人間と同じで、早食いは猫にとっても、肥満の原因になります。
ガツガツと早食いをしてキャットフードを飲みこんでしまうと、満腹中枢がうまく働かず、食べるキャットフードの量が増えてしまうのです。
猫のダイエットは運動だけではなく、食事も管理しながら成功させなければなりません。
しかし、急激なダイエットは栄養不足を引き起こすため、避けるべきだとされています。
そのため、一度肥満体型になってしまうと根気よくダイエットを続けなければならないので、飼い主さんだけでなく、猫自身も大きな負担を感じてしまうでしょう。

3.嘔吐の原因にもなる

早食いによって、たくさんのキャットフードを一気に食べることは、嘔吐の原因になります。
早食いが原因の嘔吐は食後に見られやすく、消化されていないキャットフードがそのままの形で吐き出されるのが特徴です。
早食いをするときは、キャットフードを噛まずに、丸のみしています。
そうすると、胃にかかる負担が大きくなり、嘔吐が引き起こされるのです。
ただし、食後の嘔吐は早食いが原因なだけではなく、キャットフードが体に合わせないときにも見られるので気を付けましょう。
飼い猫の嘔吐の原因を正確に見極めるには、体にアレルギー反応が出ていないかということや、食事に費やす時間を増やしても嘔吐が見られるのかということをチェックしてみてくださいね。

4.糖尿病を引き起こす可能性も

早食いをしていると、体内でインスリンの放出量が多くなります。
こうなると、インスリンに対する細胞の反応が鈍くなり、血液中の糖を細胞内にうまく取り込めなくなってしまうのです。
糖を取り込む機能が低下すると、血糖値が高くなり、糖尿病を引き起こしやすくなるといわれています。
また、猫は興奮時に血糖値が高くなるため、血糖値が高いだけでは糖尿病だと診断できません。
そのため、猫の糖尿病は犬の糖尿病よりも診断が下しにくいといわれており、完治させることも難しいとされています。

5.フードへの執着心から攻撃的になる子も

早食いをする子は食べることが大好きなため、食べ物に対して執着心を持っていることも多いものです。
こうした子は、他の子がキャットフードを食べようとしたときに、攻撃的な一面を見せてしまうこともあるでしょう。
そのため、多頭飼いをしているおうちでは、早食いが原因で他の猫と仲良くできなくなってしまうことも少なくありません。

早食いをしてしまう2大原因とは?

本能的に早食いが身についている

猫が早食いをしてしまうのは、ネコ科の習性にも関係があります。
肉食動物である猫は、雑食の人間とは違って、食べ物を歯ですり潰すことができません。
猫は人間とは違い、尖った奥歯を持っています。
そのため、奥歯で食べ物を切り分けることができるのです。
こうした特徴を持っているため、丸のみは猫にとって自然な食べ方だといえるでしょう。

2.早食いをしなければならない環境にいたため

猫が早食いをしてしまうのは、持って生まれた習性だけではなく、環境にも原因があります。
例えば、野良猫のように、他の猫から食べ物を取られやすい環境で育った子は「誰かに取られる前に、早く食べてしまわなければ」と思い、食事のスピードが早くなります。
また、ペットショップで1匹につきひとつのフードボウルを与えられていなかったり、多頭飼い生活の中で思う存分、食べ物を口にできていなかったりした場合も、同じように食に対する執着心が強くなり、早食いをするようになってしまうのです。

飼い猫の早食いを予防できる対処法

1.早食い防止のフードボウルを使う

早食いを防止したいとき、一番効果的なのが早食い防止効果のあるフードボウルを使うことです。
早食いを防止用のフードボウルは、突起状になっており、猫が時間をかけてフードを食べられるように工夫されています。
ただし、早食い防止用のフードボウルは食べづらくなっているので、猫の中にはストレスを感じてしまう子もいるでしょう。
食べづらさにより強いストレスを感じた場合は、食欲不振に陥ってしまうこともあるので、必ず飼い猫の様子をチェックしながら使用を検討してみてくださいね。

2.量を減らして与える回数を増やす

早食いは大食いの原因にもなってしまうため、一度に与える量を再検討して肥満を予防していきましょう。
その際は、キャットフードのパッケージに記された体重別の適正量を参考に、1日の量を決めていくことが大切です。
また、一度に与える量を減らしたら、与える回数を増やすのもポイントだといえるでしょう。
例えば、現在の食事回数が1日2回の場合は、3~4回に増やしてみるのがおすすめです。
このように、キャットフードを与える回数を増やせば、適正量でも満腹感を得やすくなります。

3.おもちゃで早食いを防止しよう

飼い主さんとスキンシップを取るのが好きな子の場合は、おもちゃを使って楽しく早食いを防止させてみるのもよいでしょう。
その時に活躍してくれるのが、転がすとキャットフードが出てくるようなおもちゃです。
また、工作好きな飼い主さんはペットボトルで、こうしたおもちゃを自作してみるのもうおすすめです。
作り方は簡単で、ペットボトルの側面に100円大ほどの穴を開けるだけです。
その際は、猫が怪我をしてしまわないように、穴の周りをマスキングテープやガムテープなどで囲んでおきましょう。
ただし、こうしたおもちゃも早食い防止用のフードボウルと同じで、食べづらいことにストレスを感じてしまうこともあるため、飼い猫の様子をしっかりと確認しながら使用しましょう。

4.マイペースに食事をさせてあげよう

多頭飼い生活をしていると、他の猫にキャットフードを譲ってしまう飼い猫の姿を見ることもあるのではないでしょうか。
そうした猫は母親気分になって遠慮をしていたり、力が弱かったりしてご飯を譲ってしまうのです。
だからこそ、ご飯を譲ってしまうような子には他の猫とは違う部屋で思いっきり食事の時間を楽しませてあげましょう。
遠慮をしている猫は、食べられるときにご飯をガツガツと食べてしまうため、早食いをしやすくなります。
しかし、誰にもご飯を取られることがなく、落ち着いて食事ができる場所があれば、早食いをする必要がないと感じ、ゆっくりとフードを味わってくれるでしょう。

早食い矯正後に起こり得る「ダラ食い」の問題点とは?


健康に悪影響を与える早食いを直すのは、よいことです。
しかし、中には早食い矯正後にダラダラと食事を楽しむ「ダラ食い猫」になってしまう子もいるでしょう。
ダラ食いには、早食いとは違った問題点がいくつかあります。
早食いを直させたいと思っている飼い主さんは、あらかじめダラ食いのデメリットも知っておくようにしましょう。

1.劣化したフードを口にしやすくなる

飼い猫がダラ食いをするようになると、キャットフードが空気に触れている時間が早食いのときよりも増えてしまいます。
そうなると、フードの劣化が進み、飼い猫が質の悪いフードを口にしてしまう可能性も高くなるでしょう。
特に、ウェットフードはドライフードよりも腐敗が早いため、飼い主さんがきちんと管理しながら与えなければなりません。
こうした問題は、フードを置きっぱなしにしないことで対処できますが、食べたいときに食べられないということに対して、猫がストレスを感じてしまうことも多いのです。

2.逆に肥満へと繋がってしまう場合も

肥満予防のために早食いを直させても、飼い猫がダラ食いをしてしまっていると、逆に肥満を招いてしまうこともあります。
食べたいときに食事を食べられる環境は、猫にストレスを与えにいものですが、その分、口にするフードの量が増える可能性もあります。
ダラ食いをする飼い猫の肥満を防止するには置きエサをやめたり、適正な量のフードを与えるように意識したりしましょう。

3.飼い猫の食欲が把握しにくくなる

ダラ食いは、飼い猫がどれくらいのフードを食べたのかが分からなくなってしまうことも、問題点だといえるでしょう。
飼い猫の食欲を把握することは、健康を維持していくために大切なことです。
例えば、病気を引き起こしているときは食べるフードの量が減ることも多いので、食欲は健康を知るバロメーターにもなります。

4.下部尿路系の病気を引き起こす可能性が高くなる

健康な猫の尿は、弱酸性です。
しかし、猫は食後に尿がアルカリ性へ近づくという特徴を持っています。
そのため、ダラ食いをさせていると、尿がアルカリ性に傾く頻度が増えるので、膀胱炎や尿結石などといった下部尿路系の病気を引き起こしやすくなるともいわれています。
猫は濃度が濃い尿を出す動物なので、もともと下部尿路系の病気にかかりやすいものです。
そのため、病気を防ぐには置きエサをやめたり、下部尿路ケア用のフードを与えたりしていきましょう。

飼い猫の性格を考えながら早食い防止対策をしよう


早食いにも危険があるように、ダラ食いにもいくつかのデメリットがあります。
早食いを矯正することはもちろん大切なことですが、それによって猫が強いストレスを感じるようになってしまったのであれば、意味がありません。
早食い防止効果のあるフードボウルなども、食事をすることが大好きな子にとってはストレスのもとになってしまうことも多いものです。
早食い対策は、結果的に食欲不振を招いてしまうケースもあるので、飼い主さんは飼い猫の性格や気持ちを考えながら、対策を練っていきましょう。

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